別に北朝鮮のことを、特段気に掛けているわけではないんです。またHiroT-Blueは、北朝鮮問題を専門にしているわけでもありません。

 

でも、ネタに困ったとき、あるいは短時間で何かを書こうと思ったとき、常に絶好のネタを提供してくれるのが北朝鮮であることに、疑いはありません。このブログでNK(North Korea)モノが書かれている時、少なく見積もっても、その50%が手抜きであることは間違いありません。

 

で、北朝鮮。振り回せるものが、核兵器だけになってしまいました。振り回されても困るんだけど。

 

国連総会で、北朝鮮の人権状況を非難する決議が採択されましたが、これに対する北朝鮮の反応は、

 

「核問題と「人権問題」を口実としてDPRKを孤立および圧殺するための米国の激しさを増す政策に対処するために、DPRKは、先軍政治に従って、核抑止力を含む自衛的国防力を増大するであろう」

The DPRK will increase self-reliant national defence capacity including nuclear deterrent, pursuant to the Songun policy, to cope with the U.S. escalated policy to isolate and stifle it with the nuclear issue and the "human rights issue" as pretexts.

"DPRK Foreign Ministry Denounces U.S. Anti-DPRK "Human Rights" Racket" (KCNA)

http://www.kcna.co.jp/item/2005/200512/news12/20.htm#6

ちなみに北朝鮮の朝鮮中央通信(KCNA)のホームページ、「kcna.co.jp」と、日本のドメインを使っています。

 

朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の終了(=北朝鮮への軽水炉供与の終了)についても、KCNAは、「米国が信頼の尺度である軽水炉建設を完全放棄したため、我々は黒鉛減速炉に基づく平和的核活動を強化する事業を瞬時も止めることが出来なくなった」(朝日新聞より)と表明しています。「瞬時も」だなんて、相変わらず大げさです。北朝鮮に「平和的核活動」なんてあるか??という突っ込みは、おそらくしてはならないのでしょう。北が言いたいのは、「軽水炉をよこせ、よこさないなら何かよこせ、それもよこさないなら核をやりまくるぞ」ということ。

 

はじめは、北朝鮮の「核」を使った恫喝に、みなギョッとしていました。でも最近では、「またか」といった感じになってきています。関係国も、(おそらく)意図的に、過剰反応しないどころか、無視を決め込んでいる。そのことで、北朝鮮の「核」カードが大して効いていないことを示そうというわけです。

 

無視されるのが嫌いな北朝鮮は、より一層「核」を振り回そうとする。周りの国は、ウザイと思いつつ、他にいい知恵もないので、とりあえず放置しておく。さらに北朝鮮は…というスパイラルにあるというのが現状です。これを打破するためには、北朝鮮としては、「脅し」のエスカレートをするしかない。当初は「核抑止力」といっていたのに、それが「核兵器の保有」へと言い振りを変えたこともその一つ。

 

そのエスカレートの手段も、限られています。核弾頭の公開、核実験の実施、核兵器やプルトニウムの輸出、とかでしょうか。でもこうした手段を実行するハードルは、非常に高い。米国のみならず、中国が黙っていないからです。

 

現状は、日米(韓)だけでなく、北朝鮮にとっても身動き取れない状況なのかもしれません。

 

 

そんななか、日朝政府間対話が、24~25日に開催されることになりました。北朝鮮、どういった態度で会合に臨むか、注目です。米朝間の状況が悪い中では、日朝間も、何かが大きく進展するという期待は、まずできないでしょう。ただ、少しでも前向きな姿勢である場合、現状の打開を日本経由で図れないかということを模索しているのかもしれません。どうなることでしょう。尻切れトンボですが、時間切れにつき、今日はこの辺で。

今年中に終わらせなければならない仕事。「まだ大丈夫だろう」と思っていたら、いつの間にか年の瀬です。あわてて、横においてあった仕事をこなしています。今日は、英文和訳のチェック。半日程度で終わるだろうと思っていたら、予想以上に時間がかかり、1日を費やしてしまいました…。

 

明日・明後日は、来週の報告(2本:米露間核軍備管理+ミサイル防衛・拡散対抗)の準備をしなければなりません。年賀状も書いていないし、年の瀬の贈り物もまだ用意していない。子どものクリスマス・プレゼント、在庫はあるのか心配です。

 

書きたいネタはいくつもあるのですが、なかなか手が回りません。韓国が、また核関連でなにやらきな臭い動きを見せています。北朝鮮も吠えているようです。東アジア共同体をめぐる動きも興味深いものがありますし、仰木監督は亡くなってしまいました(今はなき近鉄ファンです)。

 

明日こそは。。。

多分。。。

事実であれば、「大変なことです」ぐらいではすまないほど大変なことです。誰の手に渡ってしまったのか…。他方、こういったニュースは、時に誤報がないわけではない。しばらく、気をつけてニュースを追ってみたいと思います。

 

 

「ウクライナの戦術核250発が行方不明?」

【モスクワ=五十嵐弘一】インターファクス通信によると、ウクライナで1990年代に大量の兵器が国外に密輸された疑惑を調査している同国議会調査委員会は、92年から97年までに320億ドル(約3兆6800億円)相当の兵器が違法に持ち出されたことを明らかにした

 セルゲイ・シンチェンコ委員長が議会に報告したもので、この中には約250発の戦術核弾頭も含まれている。

 旧ソ連崩壊後、ウクライナにあった核兵器はすべてロシアに移送されたといわれる。しかし、ウクライナが引き渡した戦術核の数とロシアが受領した数に250発の差があり、これらの弾頭の行方は不明という。

 シンチェンコ委員長によると、旧ソ連崩壊後、ウクライナに残った兵器は合計890億ドル(約10兆2350億円)相当で、約36%が紛失したことになる。委員長は、主要密輸先として、内戦が続いていたボスニア・ヘルツェゴビナやクロアチアを挙げた。

 当時、国家安全保障国防会議書記だったウラジーミル・ゴルブニン氏が密輸の中心人物だった可能性が強く、密輸が最も多かった96年には114の企業も関与していたという。

 ウクライナ検察当局は2005年3月、核弾頭搭載も可能な同国製ミサイルがクチマ前政権時代に中国とイランへ不正輸出されていたことを認めており、ユシチェンコ大統領は密輸の実態調査を指示していた。

2005年12月18日18時27分 読売新聞)

先日、休暇をとりました。

有給休暇ではなく、休日に会議があったため、その振替休日。

 

所定の用紙に記入していたら、今年度はまだ、

有給休暇を4日間しか使っていないことに気がつきました。

振り替え休日と夏季休暇で、2日間は別途休んでいますが…。

 

今年はなんか、休みを取るタイミングを逸しまくっていました。

1月から始まる年度末も、イベントや締め切りが目白押し。

あと、何日、有給休暇を消化できるんだろう…

あなたがつぶやく最期の言葉」

http://marylou.m78.com/lastword/

やってみました。 

 

HiroT-Blueの場合、

「もう何がなんだか分からない」

オーバードーズ、朦朧とした意識の中(推定年令:不明)
らしいです。

以下、判定結果+HiroTの所見

【総合運】
 あなたは実に崇高な魂の持ち主です。たとえ満員電車で寿司詰状態であったとしても、閉じられたあなたの眼の裏では、壮大な大宇宙が広がっているのではないでしょうか。あなた独自の生命論、世界観はなかなか聞き応えのあるもので、密かなファンも少なくないことでしょう。ただし、お酒の席での披露は禁物ですよ。
 そんなあなたの最期は、ずばり、オーバードーズ。眠りの前に瞑想をする習慣が災いして不眠症ぎみなあなたは、つい飲みすぎた睡眠薬によって永遠の眠りにつきます。枕もとに重ねられたツルゲーネフやニーチェの背表紙が徐々にぼやける中、『もう、何がなんだか分からない』と解かれなかった己の人生の真理をつぶやきます。

>>HiroTは、崇高な魂の持ち主です。満員電車で寿司詰め状態であっても、「bjヴぁおp:おdfしゅjヴぃおふぇjひおbvphwれgpwれひおph」(放送禁止)なんて、心の中では叫んでも絶対に声には出しません。

>>出張に出ると、どうしても寝つきが悪いので、先日のマニラ出張の際、ドリエルでも買おうかと思っていました。瞑想、ではなくて、ベッドがどうも苦手で、1~2時間おきに目が覚めてしまうもので。でも、やめときます。 

 

【仕事運】
凝り性なあなたは、学者肌なのですが、熱しやすく冷めやすいという生来の性格上、デイタイムは堅実な仕事に、アフターファイブは趣味にと、二足のわらじを履くのが良いでしょう。定時の仕事が引けてからは何をしようとあなたの自由ですが、法治国家に暮らすことをお忘れなく

>>一応、その方面の仕事についてしまいました。でも、この商売にとって、「熱しやすく冷めやすい」というのは致命的です。そしてそのとおり、致命傷になりつつあります。原稿を書きながら、ついついブログのことが気になったり…。

>>ノミの心臓につき、平時には法に触れることはしないと思います。有事の際には、人一倍気をつけます(酒は呑んでも呑まれるな)。

 

【金銭運】

あなたはお金にシビアな星回りのようです。上手くお金と付き合っていると思っているようですが、ある意味、お金は生き物です。使い方一つで着実に増やした貯金額もパアとなる事も。もう少しお金を使い慣れる必要があるのかもしれませんね。そうそう。白蛇の夢を見ると金運がアップするらしいですよ。

>>「シビア」になれる以前に、お金には縁がありません。とっととどっかに行きやがります。「白蛇の夢」、どうやってみればいいのでしょうか?

 

【恋愛運】

あなたにとっては、恋人としての他人の気持ちほどどうでも良いものはないのかもしれませんが、それはあまりに寂しすぎやしませんか? つれないあなたを慕う恋人のことをもう少し考えてあげることで、きっとあなたの囚われているレーゾンデートルから開放されるはずです。

>>かいしんのいちげき!

>>HiroT-Blueに 1000のだめーじ!

>>かみさんが ばしゃからとびだした!

>>HiroT-Blueは イイワケをとなえた!

>>イイワケが はねかえされた!

>>HiroT-Blueは こってりとしぼられた!

>>HiroT-Blueは にどど たちあがれなかった!

「北朝鮮の主張」

http://ameblo.jp/hirot-blue/entry-10006909225.html

では、北がここぞとばかりに外交攻勢に出ている、と書きました。でも、北が「強気」に「強硬」なことを言い散らかす時には、逆に北朝鮮が不安だったり、何かを懸念していたりすることも少なくありません。そんな視点で最近の流れをもう一度なぞってみると……

 

① PSI

北朝鮮の最大のビジネスの一つである大量破壊兵器やミサイルに関連する輸出がきわめて難しくなりました。PSI参加国に臨検されたり貨物を押収されたりするかもしれないからです。顧客も、発覚したときのことを恐れて逃げてしまっているかもしれません。米国はさらに、北朝鮮の周辺国に、北朝鮮を発着する疑わしい航空機の飛行許可を出さないよう要請しています。北朝鮮とイランの拡散協力はまだ続いていると見られ、船が危ないなら飛行機で……というのを防止するため。米国はさらにさらに、大量破壊兵器やミサイルに関連する北朝鮮の企業を名指しして、その企業と取引する外国企業の米国内の資産を凍結するという措置も打ち出しています。


② マネーロンダリング

米国は9月、マカオにある「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」を、違法な活動を行う北朝鮮の政府機関や関連企業に対して「マネーロンダリング上の主要な懸念がある金融機関」として認定しました。で、銀行の北朝鮮関連口座が凍結されました


③ 北朝鮮の人権問題に関する国連決議

11月、国連第3委員会で、拉致問題への明示的言及を含む北朝鮮の人権状況に関する決議が採択され、北朝鮮が非難されました。

 

で、北朝鮮は、①を米国が北朝鮮の封じ込めや圧殺を意図したものだと非難し、②を米国による「金融制裁」措置として解除を要求し、③に強く反発しています。そして、北朝鮮は米国に敵対的な発言を繰り返している。

 

こうしてみると、①~③のような「圧力」が、北朝鮮に効いているのかもしれません。外貨獲得が妨害され、お金をきれいにすることもできなくなるだけでなく資産も凍結されてしまい、さらに北朝鮮の政治体制が非難され、もしかして北朝鮮、少しあせってる??? 北朝鮮の強硬発言の裏は、事態を打開し、圧力をかわしたいという意図があるのかもしれません。うまくやれば、「圧力」に対して、北朝鮮が何らかの譲歩をするかも。

 

となると、「もっとやれ~」と、いきたくなります。が、注意しないといけないのは、「圧力」が効きすぎる状況が続くと、実はもしかしたら、我が方にとっては好ましくない方向へと進んでしまうかも、ということかもしれません。北が逆切れしてしまうと、6者会合はオジャンになり、核問題の解決は遠のき、だからといって国連安保理に持っていくことも躊躇され、北朝鮮に対する軍事的措置が実施できるような状況ではない。その間、北朝鮮は、せっせと核兵器やミサイルを作り続ける…。厳しいシナリオです。

 

しかも注意しないといけないのは、①や②は法執行にかかわる問題であり、政治的な考慮が反映されにくい分野です。たとえば②は、9月の6者会合開催直前に実施されてしまいました。普通、大事な会議の前に、わざわざ相手を怒らせるようなことはしないもの。逆に、そうしたネタをちらつかせて、相手から譲歩を引き出そうとするのが常套手段というものでしょう。でも、「法執行」であったため、そうした政治的考慮とは無関係に、淡々と実施されてしまったというわけです。こうなると、交渉担当者は、おそらく非常にやりにくいでしょう。相手から譲歩を引き出すための「圧力」ではなくなってしまうからです。

 

こうなると、「対話」モードから「封じ込め」モードにならざるを得ません。その場合、我が方にできるのは、少なくとも核兵器やミサイルが北朝鮮から輸出されるのを阻止すること、北朝鮮が冒険的な軍事行動をとらないように抑止すること、あとは適切に封じ込め、北朝鮮が有利になる状況を作り出さないこと、なのでしょうか。

 

問題は、一つは、時間はわれわれに有利に働くのか、北朝鮮に有利に働くのか、ということです。前者であれば、うまくマネージできれば、「まあ仕方ない」シナリオぐらいには、もっていけるかもしれません。北朝鮮に米や金やエネルギーだけむしりとられて、リターンはこれっぽっちもないというよりは、よっぽどましになりえます。そして結末は、かつてのソ連の時ように、北朝鮮の自然死…となるのでしょうか。ソ連崩壊は、あっという間にやってきました。今回も、いつになるかは分かりませんが、葬式崩壊に備えて用意だけはしておかないといけないですね。

 

逆に後者であれば、まずいですね。妙案はありません。どうしよう。

 

もう一つの問題は、東アジア諸国の分断が、決定的になるかもしれないということが考えられます。日本と米国は、手を取り合って、北朝鮮「封じ込め」を行うことでしょう。怖いのは、北朝鮮の恫喝に日本が屈すること、あるいは米国が北朝鮮問題への関心を失ってしまうことですが、少なくとも現状では、そうした日米離間(デカップリング)の可能性は低いように思います。

 

これに対して中国や韓国は、北朝鮮の崩壊を望まないでしょうから、日米の「封じ込め」には加わらず、北朝鮮が死なない程度に(あるいはそれ以上に)、何らかの支援をするかもしれません。もちろんこれは、北朝鮮暴発を防止する安全弁になるかもしれません。でも、中長期的に考えた場合、大陸国家の中国と韓国が接近し、海洋国家の日本と米国が手を携え、そして大陸vs海洋の間で闘争が繰り広げられる……北朝鮮問題は、まさにその契機になってしまうかもしれないのではないか。暇人の考えすぎかもしれないけど。

 

 

で、結局HiroTは何が言いたいかというと、自分でも何が言いたかったのか、分からなくなってしまいました。でも、なんて面倒な国が近くにあるんだろう…。これでメシのタネを稼がせてもらっているわけではあるのですが…。ながながとすみません。

HiroT-Blueは今、ミサイル防衛に苦しめられています。今日までに、ミサイル防衛に関する原稿の下書き(かなり粗いものですが…)を書いてしまわないといけないからです。執筆の間にネットを見ていたら、そのミサイル防衛に関するニュースが…。ということで、メモ代わりにブログに書き込みます。



日本が米国と共同研究を進めてきた、イージス間に搭載される海洋配備型ミッドコース迎撃ミサイル(SMD)。今年5月の段階ですでに方針は示されていましたが、そのとおり、来年度より共同開発へと移行することが正式に決まりました。朝日新聞によれば、「15日の安全保障会議で協議した上で、24日に閣議決定する予定の06年度予算案に関連予算を盛り込む」予定で、24日には新たな官房長官談話が出される見通しです(「米とのMD共同開発、政府が方針決定」朝日新聞)http://www.asahi.com/politics/update/1215/001.html

 

ちなみに、日本の来年度の防衛予算(要求)は4兆8800億円で、研究開発費は300億円。ミサイル防衛の開発には、38億円が計上されています(その後、減額されているかもしれませんが)。

 

その共同開発、読売新聞(「ミサイル防衛共同開発費、日本は10―12億ドル負担」[http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051215i101.htm?from=main1 ])によると、日米間で、「日本側の分担金を9年間で10億ドル(1070億円=予算上のレート)~12億ドル(1284億円)とすることで合意した」とのこと。開発総額の見積もりは30億ドル。担当分野は、

  日本側:〈1〉大気との摩擦熱からミサイル先端部のセンサーなどを保護する「ノーズコーン」

       〈2〉飛翔(ひしょう)速度を高速化させるための「第2段ロケットモーター」

  米側: 〈1〉標的に直撃して破壊する「キネティック弾頭」

       〈2〉赤外線を探知して標的の識別・追尾を行う「赤外線シーカ」

だそうです。

 

さらに今回の目玉は、日本も、「開発の途中段階でも新たな技術を取り入れ、改良を繰り返して能力を向上させていく」という「スパイラル・アプローチ」を採用するということ。今日は時間がないので、この点については後日改めて、考えてみたいと思いますが、今後の日本の開発や調達のシステムに、大きな変容をもたらすきっかけになるかもしれません。

 

……なんてことを書いている間に、時間切れ。あと1本、お茶濁しのためのペーパーをでっち上げなければ…(ブログなんか書いている暇があれば仕事しろ、という突っ込みは、なしの方向で)。

秘密裏に核兵器開発を模索していると見られているイラン。「反体制派」もウラン濃縮に賛成しているとのこと。ブッシュ政権が狙うような「体制転覆(レジーム・チェンジ)」が、仮にイランで成功しても、安全保障や国家のプライドから核兵器を持ちたいというイランの心理を変えるのは、難しいのかもしれません。

 

北朝鮮を「恫喝系」交渉マスターとすると、イランは「洗練系」。ただ、所々にほころびが見え隠れします。それだけこそこそと核兵器開発を行うというのは難しいことなのかもしれません。ババンド元大使が言うように、ウラン濃縮はNPT(核兵器不拡散条約)上、禁止されているわけではありません。日本もウラン濃縮を実施しています。でも、イランが問題視されているのは、核の闇市場など裏ルートで濃縮技術や資機材を入手しようとしたこと。核兵器取得の強い意志を疑われても仕方ありません。というか、それ以外に考えられません。これを正当化しようとするのは、至難の業。ウラン濃縮について話しつつ、「近隣には原発だけでなく核兵器を保有する国々もあり、国家のプライドの問題でもある」との発言も、???ですよね。濃縮施設ではなく、「核兵器がほしい」といっているようにしか、受け止められないのですが……。

 

 
「イラン核問題:「国内での濃縮実施」を擁護 元国連大使」(毎日)

 【テヘラン春日孝之】イランの反体制派に属しながらイラン外務省の国際問題研究機関で国際法を教えるヘルミダス・ババンド元国連大使(71)が、毎日新聞のインタビューに応じた。イランの核問題を巡り、核兵器製造につながるとして、欧米がウラン濃縮工程のロシア移転案を支持していることについて、「国内での濃縮実施」にこだわるイラン政府の立場を基本的に擁護した。

 ババンド氏は国内でのウラン濃縮について「国際法上、何の問題もない」と説明。「近隣には原発だけでなく核兵器を保有する国々もあり、国家のプライドの問題でもある」と語った。隣国ではロシアとパキスタンが核保有国。中東ではイランと敵対するイスラエルが保持するとされる。

 欧米は、イランが原子力の「平和利用」を隠れみのに核兵器製造の「意図」があると疑念を抱いている。ババンド氏は「イランが国際原子力機関(IAEA)の査察に協力しないのなら、イランの『意図』に疑問を抱く権利はある。しかし、軍事施設を含むこれまでの査察でも疑惑は立証されていない」と述べた。

 一方で、イラン政府も核兵器製造の野心を抱いているような「あいまいな立場を取っている」と指摘。米国については、「イランへの極端な選別的姿勢(二重基準)」という表現で、核の平和利用を巡り、国によって対応に違いがみられる外交姿勢を批判した。

 ババンド氏は外交官出身で79年のイスラム革命を挟んだ約2年間、国連大使を務めた。現在は反体制の穏健派政治組織「国民戦線」のメンバー。

毎日新聞 2005年12月14日 9時48分

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20051214k0000e030024000c.html


2年9ヶ月で、3万人……。このうち、「当初の攻撃」によるイラク人の死者は、どれほどの規模だったんだろう。「ボディ・カウント」(敵の死者数を数えること)はしない、というのが、ベトナム戦争後の米国の政策ではあるのですが。こうした提示のされ方をみると、「当初の攻撃」の被害は、よほど大きかったのではないかと勘繰ってしまいます(多分、外れていないんだろうけど)。


「イラク人死者「3万人」 米大統領が初めて言及」

【ワシントン12日共同】ブッシュ米大統領は12日、ペンシルベニア州フィラデルフィアでイラク政策に関して演説し、2003年3月の開戦以降のイラク人死者数について「3万人」に上ると述べた。……「3万人」との発言は演説後の質疑応答で述べたもので、米軍などの「当初の攻撃」と「その後の(武装勢力などの)暴力」による死者数として言及。同時に「イラクで2140人の米軍兵士が命を落とした」と語り、米軍と比べたイラク人被害の大きさを暗に認めた形だ。 (共同通信) - 12月13日10時41分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051213-00000032-kyodo-int

「北朝鮮の主張」からの続きみたいなもんです
http://ameblo.jp/hirot-blue/entry-10006909225.html

 

核廃棄するためには信頼醸成が必要で、その物理的な証拠は米国からの軽水炉の提供」だと主張した北朝鮮。軽水炉が先で、その後で核放棄というシナリオを描いているようです。今年9月の6者会合の「共同声明」にも言及しつつ、「軽水炉、軽水炉」とせがんでいます。

 

以下、会議でのHiroT-Blueの発言。

たしかに共同声明には、『DPRKは、原子力の平和的利用の権利を有する旨発言した。他の参加者は、この発言を尊重する旨述べるとともに、適当な時期に、朝鮮民主主義人民共和国への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意した』と書かれている。原子力の平和的利用は、NPTの当事国であるか否かを問わず、すべての国の奪い得ない権利であることには同意する。しかしこのことは、他の国がDPRKに軽水炉を提供するなどの支援を、とくにDPRKが核を廃棄する前に、行わなければならないという義務があるということを意味するものではない。DPRKが核放棄する前に米国などは軽水炉を提供すべきというDPRKの主張は、受け入れられない。そもそも、第4回6者会合の前までは、『軽水炉』については一言も言及していなかったのに、どうして急に、『軽水炉の提供』が『信頼の物理的基礎』だから早急に提供すべきなどと主張しているのか。『信頼の物理的基礎』は、何も軽水炉だけではないはず。韓国はエネルギー提供をオファーしているし、火力など原子力以外の発電施設の建設だってあり得る。軽水炉の提供は、DPRKが核を放棄し、NPTに復帰してからの話だと思う。

 

北朝鮮の出席者からは、公式見解以上の突っ込んだ返答はなく、米国が北朝鮮を圧殺しようとしているからこそ、問題解決のためには、米国が信頼の物理的基礎を提供すべき、ということを繰り返すだけでした。

北朝鮮のこうした主張が、他の参加者に受け入れられなかったのはいうまでもありません。

 

会議では言及されませんでしたが、ここで問題となってくるのが、今年7月に米国とインドが合意した原子力平和利用協力。米国は、インドが以下のような条件を実施すれば、インドに対して原子力平和利用に関する協力を実施するとしました。

①民生用と軍事用の原子力施設・計画の特定と分離

②民生用原子力施設を自発的にIAEA保障措置の下に置く決定

IAEA保障措置協定追加議定書への署名と遵守

④インドの核実験モラトリアムの継続

⑤兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)締結に関する米国との協力

⑥濃縮・再処理技術を未保有国に移転せず、これら技術の拡散を制限する国際取組みを支持

⑦包括的な輸出管理措置の法制化、ならびにミサイル技術管理レジーム(MTCR)およびNSGの両ガイドラインの遵守により、核物質や原子力技術の保安に必要な措置の実施の確認

 

たしかにこれらが実施されれば、核不拡散が一定程度強化されることは間違いないと思います。ただい、米印合意は、米国が、原子力供給国グループ(NSG)の既存がガイドラインに反するものであり、またインドを「核兵器国」として処遇することをも含意するという点には、注意が必要です。

 

そして北朝鮮の「民主朝鮮」は、2005年10月22日の論評で、以下のように述べています。

米国は、朝鮮半島の核問題を口実にあげて北朝鮮を孤立化し抑圧する政策を追求する一方で、…最近ではNPTの外にいる国々への核技術移転をためらっていない。自らの利益に合致するようNPTを無視して彼らに核へのアクセスを認め、核技術の移転を行っているのは、米国である。…米国が、現実にNPTの外にいて核兵器を保有する他の国に適用しているとの同じ方法で北朝鮮を扱うというのが、北朝鮮の要求である」。   “U.S. Urged to Drop Its Policy of Double Standards,” Korean Central News Agancy, October 22, 2005 [http://www.kcna.co.jp/item/2005/200510/news10/24.htm#11].

  
北朝鮮が、「核兵器国」として軽水炉をせしめようとしている=核放棄の意思はない=ということは明らかですね。でも、米国はインドに同じようなことをしているのだから、北朝鮮にもすべきだということです。
 
北朝鮮の屁理屈、と完全には言い切れないところが、厳しいですね。北の要求をどのように引っ込めさせるんだろう……。ここで一案出すのがシンクタンク所属の研究員の仕事なのでしょうが、さすがに難しすぎ。とりあえず別の仕事をしつつ、「閃き」を待つことにします待っている間に忘れ去ってしまいます
 
 
-----余談-----
会議では、北朝鮮についてはみな、「North Korea」ではなく「DPRK」と呼んでいました(私もそのように気をつけました)。なのに、韓国についてはみな、「ROK」ではなく「South Korea」。なんとなく不思議な感じです。