「北朝鮮の主張」からの続きみたいなもんです
http://ameblo.jp/hirot-blue/entry-10006909225.html
「核廃棄するためには信頼醸成が必要で、その物理的な証拠は米国からの軽水炉の提供」だと主張した北朝鮮。軽水炉が先で、その後で核放棄というシナリオを描いているようです。今年9月の6者会合の「共同声明」にも言及しつつ、「軽水炉、軽水炉」とせがんでいます。
以下、会議でのHiroT-Blueの発言。
「たしかに共同声明には、『DPRKは、原子力の平和的利用の権利を有する旨発言した。他の参加者は、この発言を尊重する旨述べるとともに、適当な時期に、朝鮮民主主義人民共和国への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意した』と書かれている。原子力の平和的利用は、NPTの当事国であるか否かを問わず、すべての国の奪い得ない権利であることには同意する。しかしこのことは、他の国がDPRKに軽水炉を提供するなどの支援を、とくにDPRKが核を廃棄する前に、行わなければならないという義務があるということを意味するものではない。DPRKが核放棄する前に米国などは軽水炉を提供すべきというDPRKの主張は、受け入れられない。そもそも、第4回6者会合の前までは、『軽水炉』については一言も言及していなかったのに、どうして急に、『軽水炉の提供』が『信頼の物理的基礎』だから早急に提供すべきなどと主張しているのか。『信頼の物理的基礎』は、何も軽水炉だけではないはず。韓国はエネルギー提供をオファーしているし、火力など原子力以外の発電施設の建設だってあり得る。軽水炉の提供は、DPRKが核を放棄し、NPTに復帰してからの話だと思う。」
北朝鮮の出席者からは、公式見解以上の突っ込んだ返答はなく、米国が北朝鮮を圧殺しようとしているからこそ、問題解決のためには、米国が信頼の物理的基礎を提供すべき、ということを繰り返すだけでした。
北朝鮮のこうした主張が、他の参加者に受け入れられなかったのはいうまでもありません。
会議では言及されませんでしたが、ここで問題となってくるのが、今年7月に米国とインドが合意した原子力平和利用協力。米国は、インドが以下のような条件を実施すれば、インドに対して原子力平和利用に関する協力を実施するとしました。
①民生用と軍事用の原子力施設・計画の特定と分離
②民生用原子力施設を自発的にIAEA保障措置の下に置く決定
③IAEA保障措置協定追加議定書への署名と遵守
④インドの核実験モラトリアムの継続
⑤兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)締結に関する米国との協力
⑥濃縮・再処理技術を未保有国に移転せず、これら技術の拡散を制限する国際取組みを支持
⑦包括的な輸出管理措置の法制化、ならびにミサイル技術管理レジーム(MTCR)およびNSGの両ガイドラインの遵守により、核物質や原子力技術の保安に必要な措置の実施の確認
たしかにこれらが実施されれば、核不拡散が一定程度強化されることは間違いないと思います。ただい、米印合意は、米国が、原子力供給国グループ(NSG)の既存がガイドラインに反するものであり、またインドを「核兵器国」として処遇することをも含意するという点には、注意が必要です。
そして北朝鮮の「民主朝鮮」は、2005年10月22日の論評で、以下のように述べています。
「米国は、朝鮮半島の核問題を口実にあげて北朝鮮を孤立化し抑圧する政策を追求する一方で、…最近ではNPTの外にいる国々への核技術移転をためらっていない。自らの利益に合致するようNPTを無視して彼らに核へのアクセスを認め、核技術の移転を行っているのは、米国である。…米国が、現実にNPTの外にいて核兵器を保有する他の国に適用しているとの同じ方法で北朝鮮を扱うというのが、北朝鮮の要求である」。 “U.S. Urged to Drop Its Policy of Double Standards,” Korean Central News Agancy, October 22, 2005 [http://www.kcna.co.jp/item/2005/200510/news10/24.htm#11].