「北朝鮮の主張」

http://ameblo.jp/hirot-blue/entry-10006909225.html

では、北がここぞとばかりに外交攻勢に出ている、と書きました。でも、北が「強気」に「強硬」なことを言い散らかす時には、逆に北朝鮮が不安だったり、何かを懸念していたりすることも少なくありません。そんな視点で最近の流れをもう一度なぞってみると……

 

① PSI

北朝鮮の最大のビジネスの一つである大量破壊兵器やミサイルに関連する輸出がきわめて難しくなりました。PSI参加国に臨検されたり貨物を押収されたりするかもしれないからです。顧客も、発覚したときのことを恐れて逃げてしまっているかもしれません。米国はさらに、北朝鮮の周辺国に、北朝鮮を発着する疑わしい航空機の飛行許可を出さないよう要請しています。北朝鮮とイランの拡散協力はまだ続いていると見られ、船が危ないなら飛行機で……というのを防止するため。米国はさらにさらに、大量破壊兵器やミサイルに関連する北朝鮮の企業を名指しして、その企業と取引する外国企業の米国内の資産を凍結するという措置も打ち出しています。


② マネーロンダリング

米国は9月、マカオにある「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」を、違法な活動を行う北朝鮮の政府機関や関連企業に対して「マネーロンダリング上の主要な懸念がある金融機関」として認定しました。で、銀行の北朝鮮関連口座が凍結されました


③ 北朝鮮の人権問題に関する国連決議

11月、国連第3委員会で、拉致問題への明示的言及を含む北朝鮮の人権状況に関する決議が採択され、北朝鮮が非難されました。

 

で、北朝鮮は、①を米国が北朝鮮の封じ込めや圧殺を意図したものだと非難し、②を米国による「金融制裁」措置として解除を要求し、③に強く反発しています。そして、北朝鮮は米国に敵対的な発言を繰り返している。

 

こうしてみると、①~③のような「圧力」が、北朝鮮に効いているのかもしれません。外貨獲得が妨害され、お金をきれいにすることもできなくなるだけでなく資産も凍結されてしまい、さらに北朝鮮の政治体制が非難され、もしかして北朝鮮、少しあせってる??? 北朝鮮の強硬発言の裏は、事態を打開し、圧力をかわしたいという意図があるのかもしれません。うまくやれば、「圧力」に対して、北朝鮮が何らかの譲歩をするかも。

 

となると、「もっとやれ~」と、いきたくなります。が、注意しないといけないのは、「圧力」が効きすぎる状況が続くと、実はもしかしたら、我が方にとっては好ましくない方向へと進んでしまうかも、ということかもしれません。北が逆切れしてしまうと、6者会合はオジャンになり、核問題の解決は遠のき、だからといって国連安保理に持っていくことも躊躇され、北朝鮮に対する軍事的措置が実施できるような状況ではない。その間、北朝鮮は、せっせと核兵器やミサイルを作り続ける…。厳しいシナリオです。

 

しかも注意しないといけないのは、①や②は法執行にかかわる問題であり、政治的な考慮が反映されにくい分野です。たとえば②は、9月の6者会合開催直前に実施されてしまいました。普通、大事な会議の前に、わざわざ相手を怒らせるようなことはしないもの。逆に、そうしたネタをちらつかせて、相手から譲歩を引き出そうとするのが常套手段というものでしょう。でも、「法執行」であったため、そうした政治的考慮とは無関係に、淡々と実施されてしまったというわけです。こうなると、交渉担当者は、おそらく非常にやりにくいでしょう。相手から譲歩を引き出すための「圧力」ではなくなってしまうからです。

 

こうなると、「対話」モードから「封じ込め」モードにならざるを得ません。その場合、我が方にできるのは、少なくとも核兵器やミサイルが北朝鮮から輸出されるのを阻止すること、北朝鮮が冒険的な軍事行動をとらないように抑止すること、あとは適切に封じ込め、北朝鮮が有利になる状況を作り出さないこと、なのでしょうか。

 

問題は、一つは、時間はわれわれに有利に働くのか、北朝鮮に有利に働くのか、ということです。前者であれば、うまくマネージできれば、「まあ仕方ない」シナリオぐらいには、もっていけるかもしれません。北朝鮮に米や金やエネルギーだけむしりとられて、リターンはこれっぽっちもないというよりは、よっぽどましになりえます。そして結末は、かつてのソ連の時ように、北朝鮮の自然死…となるのでしょうか。ソ連崩壊は、あっという間にやってきました。今回も、いつになるかは分かりませんが、葬式崩壊に備えて用意だけはしておかないといけないですね。

 

逆に後者であれば、まずいですね。妙案はありません。どうしよう。

 

もう一つの問題は、東アジア諸国の分断が、決定的になるかもしれないということが考えられます。日本と米国は、手を取り合って、北朝鮮「封じ込め」を行うことでしょう。怖いのは、北朝鮮の恫喝に日本が屈すること、あるいは米国が北朝鮮問題への関心を失ってしまうことですが、少なくとも現状では、そうした日米離間(デカップリング)の可能性は低いように思います。

 

これに対して中国や韓国は、北朝鮮の崩壊を望まないでしょうから、日米の「封じ込め」には加わらず、北朝鮮が死なない程度に(あるいはそれ以上に)、何らかの支援をするかもしれません。もちろんこれは、北朝鮮暴発を防止する安全弁になるかもしれません。でも、中長期的に考えた場合、大陸国家の中国と韓国が接近し、海洋国家の日本と米国が手を携え、そして大陸vs海洋の間で闘争が繰り広げられる……北朝鮮問題は、まさにその契機になってしまうかもしれないのではないか。暇人の考えすぎかもしれないけど。

 

 

で、結局HiroTは何が言いたいかというと、自分でも何が言いたかったのか、分からなくなってしまいました。でも、なんて面倒な国が近くにあるんだろう…。これでメシのタネを稼がせてもらっているわけではあるのですが…。ながながとすみません。